はじめに
高齢者にとって「転倒」は日常生活を大きく左右するリスクです。
特に富山のように雪や雨が多い地域では、外出時の転倒はもちろん、室内での転倒事故も決して少なくありません。
骨折や頭部外傷につながり、その後の生活の質を下げてしまうケースは介護現場でも多く見られます。
しかし、転倒の多くは「ちょっとした工夫」で予防が可能です。
今回は、介護現場で培った知見をもとに、ご家庭でできる転倒予防の5つのポイントをご紹介します。

なぜ高齢者は転倒しやすいのか?
筋力・バランス感覚の低下
加齢に伴い、下肢の筋力や反応速度は低下します。段差や傾斜がなくても、ふらついた拍子に転んでしまうことがあります。
視力・聴力の変化
白内障や緑内障などの影響で視界がぼやけ、段差や障害物に気づきにくくなることも。聴力の低下は周囲の気配を察知しにくくし、危険回避が遅れる要因になります。
薬の副作用
降圧剤や睡眠薬など、一部の薬はふらつきや眠気を誘発します。
医師と相談し、服薬状況を見直すことも重要です。
ご家庭でできる転倒予防の5つのポイント
1. 屋内の環境を整える
- 段差にはスロープや手すりを設置
- カーペットや敷物は滑り止めシートで固定
- 廊下や階段には夜間でも点灯できる常夜灯を配置
実例:富山市内のご家庭では、階段の1段目と最後の段に蓄光テープを貼っただけで「つまずきにくくなった」と利用者から好評でした。


2. 屋外での安全を確保する
- 冬場は玄関前の除雪・融雪をこまめに
- 雨の日は滑りにくい靴底の靴を使用
- 杖やシルバーカーには滑り止めアタッチメントを装着
実例:上市町のある利用者宅では、玄関に手すりを追加設置したことで「外出が怖くなくなった」とご本人と家族が安心されていました。

3. 日常生活での運動習慣
- 毎日の散歩(10〜15分)
- 椅子に座ってのスクワットやかかと上げ運動
- デイサービスやリハビリ教室の活用
実例:デイサービスで週2回の「転倒予防体操」を導入した結果、半年で参加者の歩行スピードが平均15%改善しました。

4. 栄養と水分補給
- 骨を丈夫にするカルシウムやビタミンDを意識
- 水分不足はふらつきや脱水を招き、転倒リスクを高める
- 高齢者は喉の渇きを感じにくいので、声掛けが大切
実例:あるご家庭では「水分補給の時間をアラームで知らせる」工夫を行い、夏場の脱水や立ちくらみの防止につながりました。

5. 定期的な健康チェック
- 年に1度の骨密度検査や運動機能チェック
- 定期的な眼科・耳鼻科受診で感覚機能を維持
- 薬の副作用について主治医に相談
実例:富山市のある方は、薬の調整を行ったことで夜間のふらつきが軽減し、転倒リスクが下がりました。
ご家族にできるサポート
- 「危ないから動かないで」ではなく「安全に動ける工夫を一緒に考える」姿勢が大切
- 転倒した際の緊急連絡先を紙やスマホに明示しておく
- 見守りセンサーやカメラなどICT機器を導入して安心感を高める
まとめ
高齢者の転倒は「避けられないもの」ではありません。
・環境整備 ・運動習慣 ・栄養管理 ・健康チェック ・ご家族の支え
これらを組み合わせることで、日常生活の安全性を大きく高めることができます。
「転ばぬ先の杖」という言葉通り、小さな予防の積み重ねが将来の大きな安心につながります。
富山の地域特性をふまえ、雪や雨といった外的要因にも備えながら、ご家庭でできることから始めてみましょう。
「これって大丈夫かな?」と感じたときが、相談のタイミングです。
認知症や介護について「ちょっと不安だな」と思われたら、ぜひ一度ご相談ください。
当社(とやまヒューマンサービス)では、介護や認知症に関するお困りごとを無料でご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。
コメント